風に吹かれたハマナスが待っている。
すっかりお久しぶりの投稿になってしまいました。
今回は生まれた町のお話を少しばかり。
5月初め、ゴールデンウィーク中に私の住む町は桜の見頃を迎えました。
近所の公園の夜桜のライトアップをいつ見に行こうか、ああそういえば動物園の近くの公園も桜がたくさん植えてあるんだ、さていつ行こうか誰と行こうかどうしようか。
そんな風にウダウダしていたら、哀しいかな連日の空模様は一気に降下し、雨が上がったと思いきや例年稀に見る暴風。息もできないくらいの暴れ風。
結局、お花見をせずに今年の桜は散っていきました。
そんな桜の見頃だったはずの風の強い日、よりによって屋外で過ごしていた私。
河川敷の野球グラウンド。
全身砂まみれになりながら職場の野球チームの応援。
苦しい暴風の中、脳裏に浮かんだのは、風の強いあの町のことでした。
ー息もできないくらいの暴れ風ー
私の生まれた町は今住んでいるところよりもっともっと北にある海辺の町。
最北端の町「稚内市」。
人口は約36,000人。
年間平均気温が7度ほどで、強い風が年間を通して吹いているため冬は雪が降ればたいてい吹雪。
傘が吹っ飛んでしまうので小学生は高学年になるまで傘の使用禁止。カッパ着用。
町の近くには大きな風力発電のプロペラ風車が立ち並んでいました。
そんな小さな小さな風の町で私は生まれました。
本当に小さな町でした。
当時、マクドナルドはありませんでした。(2009年に出来たらしい)
セブンイレブン・ローソンはいまだにありません。
(コンビニは”道産子おなじみ”セイコーマートのみ)
デパートはひとつだけ。
小学校3年生の途中で今住んでいる町に引っ越してきたので、稚内に住んでいた頃の思い出はずいぶん昔のものとなってしまいましたが、生まれた町というものは特別なものです。
今でも、出身は?と聞かれれば必ず「生まれは稚内です」と答えます。
「小3までなんですけどねぇ。」と言いますが、ゆずれない何かがあるんです。
「ほぼこっちの人じゃん〜!」
「まあそうなんですけどね、へへ。」
ゆずれない。
引っ越してきて10年以上経ちますが、まだ一度も稚内へは行けていません。
今年こそ、今年こそと思い続けて数年。
なにせ車で6時間以上かかります。
時間もお金もかかります。
住んでた道営住宅は変わらず残っているのだろうか、通学路をもう一度歩いてみたい。
犬に噛まれた思い出のある、あの公園。
スーパーのパン屋のねじりチョコパンが懐かしいなとか。
ハマナスの花は相変わらず道路沿いにたくさん咲いているのだろうかとか。
風が強い日はそんな風に生まれた町のことを思い出します。
もし再び最北端の地へ足を踏み入れることができたなら、
小さな赤い実をつけたハマナスが待っていてくれますように。