嫌いな君のことばかり考えている。
蝦夷梅雨が明け、短い夏が始まった。
心地良い風が吹き抜ける北の大地の夏。
朝晩は肌寒く、上着が欠かせない。
たまに本州よりも暑くなったり。
姿をなかなか見せない蝉の声。
そんな、いつも通りの夏がやってきた。
好きか嫌いかで言えば、夏は嫌いな部類に入る。
それが、少数派だということはわかっている。
だらだらと汗をかいて化粧は落ちてしまうし
かと言ってエアコンの風は好きじゃない。
この時期の関東では暮らせない自信がある。
おまけに虫が得意ではないので
電灯に群がる蛾の大群と、バチバチっと鳴る音。
どこからともなくやってくるコバエ、
いつの間にか巣を張り巡らせるクモ、
ああ、考えただけでぞっとする。
人前で水着になれるような体型でもないから
海水浴だとかプールだとかは
最後に行ったのはいつなのか覚えてすらいない。
前述の通り、虫が苦手なのでキャンプも身を構えてしまう。
(綺麗なコテージなら可)
各地で開かれる夏の「音楽フェス」に
いつだって憧れている気持ちはあるし
誘われれば行ってみたいのだが
サブカルを武器にした群衆はほんのり苦手な
"同族嫌悪"に近いものがある。
花火大会、会場で見るのは人混みにひと苦労するし
遠くで見るのはなんだか物足りない。
夏で唯一、好きなのは
祭りの類いが行われることだ。
花火大会と同様に、人混みは人混みだけど
屋台の匂い、その時その時に流行るよくわからないおもちゃ。
国籍不明の食べ物。
汗ばんだ艶っぽい浴衣の少女。
少し怪しくてノスタルジックな日本の風景に
なんだか心が躍る気がする。
だけど、
りんご飴や綿あめはべとべとする。
チョコバナナは大好きだけど
それも手が汚れがちで。
氷にただシロップをかけたものが
500円なのも納得がいかない。
くじ引きは本当に1等が当たるのだろうか。
、、、そんないくつか引っかかる点も含めて
"祭り"の雰囲気だから好きなのかもしれない。
暑い、暑い、嫌い、嫌い、と言いながらも
週末にどこへ行こうか
何をしようか、
誰を誘おうか、
ついつい考えてしまうのはなぜだろう。
思い浮かべる友や家族が
夏の陽射しの中で笑っているからだろうか。
私も、その笑顔の中にいたいからだろうか。
ぎらぎらとした太陽を浴びながら
そんな嫌いな夏のことばかり考えている。
日々の天気予報に一喜一憂しながら、
そうして夏の思い出が増えていく。
photed by http://instagram.com/ayakaaa28